ゆっくり出来ないのだ。


 合間にコーヒーを飲み、軽くブレイクする程度で。


 そしてその週も終わりに近くなる。


 パソコンに調書の内容を打ち込んでいく一方、合間にパトロールにも出かけていた。


 悪の巣窟である歌舞伎町には、たくさんの悪者どもがいる。


 島田と組み、その週の土曜の夕方、巡回した。


 ちょうど選挙の前日だ。


 物騒なのである。


 あの街自体。


 各所で電飾が輝き、辺り一帯にホストやキャッチなどが蠢く。


 島田が、


「トノさん、平気なの?」


 と訊いてきた。