抱えきれないことも山ほどあるのだ。


 だが、最近俺もストレスや心労を受け流すことを感じ始めた。


 一々腹を立てない。


 細かいことはどうでもよかった。


 単に自分が自分らしくあればいい。


 警官である前に一人の人間としてそう感じていた。


 署内でも最近、尾花監察官のことがやけに噂されていたのである。


 俺も思った。


 あの警視庁付の監察官は何かを企んでいると。


 単に一省庁のお目付け役じゃ済まない面もあった。


 そう思うと、また猜疑心が生まれる。


 同じ公務員でも、あっちの方が断然上の地位にいた。


 何せ、警視庁でも警部補以上の職員から職務に関することを聞く権限があるからだ。