俺も署に勤務しながら、刑事に必須である剣道などの武道をしていたし、地下の射撃訓練場で射撃の訓練をすることもある。


 元々、警視庁の捜査二課にいた。


 所轄から抜けたい島田とは真逆だ。


 二課時代に選挙違反摘発でミスしてしまって、桜田門から追い出されたのである。


 階級は警部だったが、実質警部補か、下手すると巡査部長ぐらいの仕事しか任されない。


 警官は公僕だから、異動などがあれば大変だった。


 怯えるのが現実だ。


 僻地の警察署などに飛ばされはしないかと。


「トノさん」


「何?」


「関東六王会会長の橋岡陽一郎が、またいろいろやってるんだってさ。雑居ビル内のクラブで、下の人間たちが一斉検挙されたのにな」


「あの連中は、懲りないからね。でも、どうせ組対がする仕事なんだし、俺たち所轄でも