最初、棚町も黙っていたのだが、やがて、


「古賀先生がお使いになるので」


 と言う。


「お前、こんなもの持ってて、本当にいいって思ってるのか?」


「いえ、ですが……」


「教祖の命令には絶対服従なんだろ?」


「……」


 棚町はそれからだんまりを決め込んだ。


 ずっと俯いている。


 渡辺が、


「熊切警部、覚せい剤の件は別件扱いにしましょう。ここは我々公安部に任せてください」


 と言い、引き取らせた。


 熊切が頷き、取調室を出る。