組対が動いているのだった。


 陰で。


 もちろん、組対の刑事たちも動揺している。


 あの組に対する捜査というと、尋常じゃいられない。


 それだけ根が深いのだ。


 警視庁広域指定七×二事件で羽野和夫と衛藤稀人は、警察から追われている。


 殺人事件である以上、波及力は大きい。


 数日後の昼過ぎ、警視庁の刑事部長である押村が、連絡してきた。


 二課時代に上司だった人間である。


「久しぶりだな、殿村君」


 押村はそう切り出し、最近の新宿中央署の状況に関して、事細かく聞いてきた。


 今、警視庁刑事部のトップなのに、昔のよしみで電話してくる。


 不可思議に思っていた。