「うん。藤原警部もトノさんと同じなんだよ。昔は桜田門にいたって点ではね」


「そう……」


 思わず言葉尻を濁す。


 そして軽く息を吸い込み、


「――俺は所轄生活で十分だけど、藤原警部はお気の毒だな」


 と言葉を重ねる。


「ああ。俺も同情しちゃうね。悲惨だなって」


 島田が言った。


 その後、訊いてくる。


「でも、トノさんは本当に所轄でいいの?昔は本庁の二課でバリバリやってたんだろ?」


「うん。俺は干されたって思ってる。完全にな」


「諦めてるの?」


「ああ。仕方ないって」