その後、アルコールの抜けない慎吾と賢一は帰っていった。



慎吾はこれからもう一寝入りすると言い、賢一は二日酔いのままシェフの仕事をするらしい。

そんな二人の背中を見送る蒼は、今までになく寂しそうだった。




あたしは、そんな蒼にかける声が見つからない。

黙って下を向いた。






「唯ちゃんごめんね、心配かけて」




蒼は何も悪くないのに。

正直、あたしになんて構っている余裕もないはずなのに。

そうあたしを気にしてくれる。




「ううん……」




どんな言葉も安っぽくなりそうで、あたしはただ蒼の手を握る。