「あれ?唯?」




不意に名前を呼ばれて振り返る。

何だか久しぶりに聞く声だった。




振り返った先にいたのは、隆太のうちわを持った亜美。

あたしは思わず息を呑んでいた。






亜美。

あたしの高校時代からの友達。

今は地元で大学生をしている。

あたしのFの火付け役となった張本人。

Fの艶をこよなく愛しているのだが……




「亜美、TODAYも好きなんだ!」




それは初めて知った事実だった。





亜美は蒼の存在に気付かず、汗ばんだ顔であたしを見る。

その顔には、コンサートで大暴れした疲労と満足が見え隠れした。




「うん!最近はまってて。

隆太超かっこいいし!

しかも、隆太、碧と仲いいんだね」




そんなことを言うから、慌てて蒼を隠すように前に立った。

さすがの蒼は携帯を触るふりをして下を向いている。

なかなかのグッジョブだ。