「ううん、別に」




平静を装う。




「ただ、蒼とこうやってお出かけ出来て、すごく嬉しいな」



「唯ちゃん……」




蒼はその綺麗な顔であたしをまっすぐ見る。

その純粋な瞳にやられてしまう。




「俺、正直ホッとしてる」




蒼は小さく声に出す。




「唯ちゃん、隆太のファンだったらショックだったな」



「え……」



「唯ちゃんは、俺のファンだけでいい」



「蒼……」



「他の男なんかに譲らないから」




蒼は耳元でそう囁き、あたしの耳を甘噛みする。

あたしの耳には焦げるほどの電流が流れ、身体はふにゃふにゃになる。

血液が沸騰しそう。

アタマがおかしくなりそう。

何言ってるの、あたしはとっくに、蒼だけのもの。