「てめぇ、どういうことだ!?」




リビングのソファーには優弥さんがいた。

その凛々しい顔を、鬼の仮面のように歪ませて。





「右手中指骨折!?

全治一ヶ月!?」



「ごめんちゃい」




蒼はわざとそう言って、頬を膨らませた。



あたしは分かっている。

一番悔しいのは蒼だって。

だけど、その悔しさをどこに向ければいいのか分からない。




「大丈夫だって!

ピックは何とか持てるから」



「はぁ?ドラえもんみてぇな手ぇしてるのに?」



「気合いで乗り切る!!」




そう言いはる蒼に向かって、優弥さんはため息をついた。