「もう、こうなればカンペだ!」




ヤケになってカンペを作る蒼の横で、あたしも教科書に目を落とした。





……が……







「蒼!進んだ?」




蒼を見つけた友達が寄ってくる。




「全然。誰かカンニングさせてよ」




不真面目な蒼に、




「どうしよっかなー。

艶のサインもらってくれるなら考える」




謎な交渉を持ちかける友達。

そんな友達に、




「まじで?おっさんのでいいの?」




蒼は目を輝かせていた。




「あー、でもおっさんケチだからな。

それか俺のノートあげるよ。

高く売れるよ?」




わざとらしく言う蒼に、




「お前のノートは汚いからいらねー」




けなす友達。

蒼は結局勉強なんかせず、友達ときゃっきゃと騒いでいた。

この静かな図書館で。





……そう。

蒼はこんな性格だから、友達も多い。

そして、大半の友達が蒼を特別扱いしない。

それも、蒼の人格のおかげかもしれない。