俺は再度、地獄の印刷物を見る。

それは、Fの次の新曲。

リリースはずっと先らしいが、優弥の行動は素早い。

鬼の譜面が出来上がってから……

それからが勝負なのだ。





今回の曲も、例外なく難曲だ。

めちゃくちゃなリズムに、めちゃくちゃなコード。

おまけに、めちゃくちゃなメロディー。





「録音はギター六本。

俺と蒼が三本ずつ。

それに加えてライブバージョン」



「はぁ!?」





鬼だ……。

俺が三パートも担当しないといけないなんて。





「蒼は最近たるんでるから、ボイトレも週三で入れている」



「……やだ」



「ふざけんな!」



「やだ……。

ボーカルなんて、もう嫌だ」




ギターだけでも負担なのに。

だけど、優弥は俺を睨んで口を開く。




「てめぇがイケメンでスジがいいからボーカルなんだろが!!」




その答えに、




「はい……」




折れるしかなかった。