「それでだな、唯。
突然だけど、蒼のこと頼むよ」
思わぬ言葉に、あたしは賢一の顔をじっと見ていた。
男らしい釣り上がった瞳に、少しだけニキビが出来ている。
アシメの髪は、そのニキビを隠すように垂れていて。
賢一も相当なイケメンだと思った。
そんな賢一は、一瞬蒼を見て、再びあたしに視線を戻す。
「蒼、マトモな恋愛してねぇんだよ。
特に最近は碧のイメージが付いて回るから」
「そうそう。
これだけは、優弥を恨まないといけないよなぁ」
そう言って慎吾はため息をついた。
「え……」
唖然としているあたしを見て、困ったように顔を見合わす二人。
「まぁ、何かあったら、俺たちすぐに相談に乗るから」
慎吾がそう言った時……
「あーッ!!慎吾と賢一!
唯ちゃんと何してるの!?」
蒼の叫び声が聞こえた。
「唯ちゃんは俺のだからね!!」
そう言ってあたしの身体に手を回す。
甘い香りと温かい体温に包まれて、あたしは倒れそうになった。
そんなあたしの頭に浮かぶ、賢一の言葉。
ー蒼、マトモな恋愛してねぇんだよなー
どういう意味だろう。