「ねぇ、唯ちゃん。

……唯ちゃんを抱きたい」



「えっ!?」




辺りを見回す。

今は人の気配のない小部屋だが、どこからともなく話し声は聞こえてくる。

そして、ホールへ入る裏口だってある。





「こんなところで?」




そう言うと、




「唯ちゃんが来るからだよ?

俺……唯ちゃん見ると……」




蒼が切ない声を出した時……





「蒼!何してんだてめぇ」




鋭い声が聞こえた。