「ちょっと、碧!!」




耐えかねた川藤ゆりが蒼の手を引く。

その美しい顔は、怒りで歪んでいた。

蒼は川藤ゆりにゆっくりと視線を向ける。

そして、静かに呟いた。





「いい加減に帰れよ」




「……!!!?」





衝撃があたしの身体を走る。

蒼……今のは碧というべきか。

なんだか怖い!!!






恐る恐る蒼を見る。

だけど、蒼は相変わらずにこにこ笑っていて。

それ以上、川藤ゆりのことについては何も言えなかった。

そして、川藤ゆりは悪態をついて走り去った。

そんな川藤ゆりの後ろ姿を見て、少しだけ可哀想だと思った。

……少しだけど。