キャー!!




突然廊下で悲鳴があがり、ざわざわと騒がしくなる。





「えっ!?」



「何?」




女子たちが口々に叫んだ時……




「唯ちゃん!!」




懐かしい声がする。

積み上げてきた「平気」というブロックが、がらがらと崩れ落ちた。





なんで……



どうして……




目の前の光景が信じられない。







茶色の髪。

アーモンド型の瞳。

つり上がった口角。

グレーのジャケット。

ダメージジーンズ。





……どれもこれも愛しい。

手が届かないけど、あたしの大好きな人。








蒼はあたしを見て、まっすぐにこっちに来る。




ドキドキドキドキ……




鼓動が速い。






「唯ちゃん、ごめんね。

一緒に帰ろう」




そう言って、震えるあたしの手を握った。