ふと、顔を上げると蒼と視線があった。 びしょ濡れの蒼は、いつもの大きな瞳であたしを見ていて。 その頬が微かに紅くなっていて。 あたしが目配せすると慌てて表情を固くして横を向いた。 「あたし、もう帰るね」 静かにそう言う。 ここから先に、あたしの出番はない。 ファンが首を突っ込むところでもない。 「約束、守るから」 蒼は静かにそう言った。