蓮が見えてきた 無我夢中で走った こんな風に走るのって いつぶりかな 「杏!!」 蓮に呼ばれた 他の声や音は聞こえなくて 蓮の声だけが私の耳に響いた 低くて甘い蓮の声だけが… 「蓮!!」 「あとは任せろ」 私からバトンを受け取ると 蓮は走り出した あ、これなら勝てる 私は蓮の背中を見送った 「お疲れさま」 私にタオルとドリンクを 渡してくれたのは翠 「ありがとう、翠」