緑の風と小さな光 第1部

ノーラはその婚約者にまだ想いがあったのかもしれない。一瞬、寂しそうな顔になった。

「全てやり直しです。今回の事、両親に打ち明けようと思います。」

「…どうなるの?」

ピアリは心配になった。

「父は優しいけれど正義感の強い人です。役人に訴えるでしょう。」

「罪になるだろう?」

エルグも心配そうだった。

「ええ…」

みんなの大切な想いのこもった品を盗んで心を傷つけた。時にはその身体にも傷を負わせた。

その罪は償わなければ…

「ここの法だと傷害と窃盗は鞭打ちだよ。みんなの前で…」

医者が言った。今は彼の怒りも消えていた。

鞭打ちの痛みと領民達の目…侯爵令嬢には過酷だ…

「それだけでみんなから許してもらえるとは思いませんが…」

ノーラの表情は暗いものでは無かった。むしろ晴れやかで美しかった。

「そんな事は無い!きっとみんなもわかってくれるさ!」

エルグは泣きながら言った。

「私は帰ります。もうここに来ることは無いでしょう。今まで本当にありがとう。」

ノーラはピアリを見た。

「ピアリ、最後にほんの少しセレにお願いしたい事があるのだけど、いいかしら?」