御影さまはそのまま静かに歩いてくる。 何も言わずとも、みんな御影さまに道をあける。 人のアーケードがたちまち出来上がりわたしも、みんなと同じように道をあけた。 でも、御影さまは わたしの前を通り過ぎようとしない。 立ち止まり、しかも、くるっと体ごとこちらを向く。 え?なに・・・? わたしをじっと見ているように思う。 でも、そんなわけない。 だって、わたしと御影さまは初対面。 しかも、わたしなんかに用事があるわけもない。 御影さまの視線はとてもまっすぐで熱くて、そらすことができない。