「先生・・・」
和田がおそるおそる医者に尋ねた。

弘樹の母親もすがるように医者の顔を見る。


「・・・残念です。手は尽くしたのですが・・・・・・」

亜矢音がヒッと息を飲むような声を出した。


「ウソでしょう!」
母親が泣き崩れるのを、悲しい表情で医者が見た。

ため息とともに、カルテを取り出し告げる。


「午後4時44分、死亡を確認しました」