寝不足の目をこすりながら、早朝の図書室で私は本を読んでいた。

昨日見た光景を忘れられる人はいないだろう。

まだ、あの匂いが残っているような気がして、私は頭を軽く振った。


「・・・富田さん」


言葉に出してみる。

それでも、胸にこみあげる悲しみは消えない。

もしも、あの時優しくしていたら・・・。

昨夜から何度考えたのだろう。

結局一睡もできないまま、ここに来てしまった。

ひとりが怖い、とか言っている場合じゃない。

なにか、ヒントが欲しかった。