自分の記憶を代償として差し出すと。



《本当にいいのか?記憶がなくなるんだぞ?》



「記憶がなくなったとしても、一から知っていけばいいんです。また、初めから。何もなかった時の記憶に戻るだけです。」



たとえあたしの記憶がなくなったとしても、心は、身体は覚えているから…。



だからーーー−−…



もう、怖くない。



《フッ…なかなか気の強い娘だ》



鞠花様はあたしの頭に手を置いた。



そして、あたしの記憶はそこで途絶えたーーー−−…