それでも何とか
呼吸をし
無気力ながらも日々を
過ごしていれば
嫌でも時は流れ

気付けば五年の月日が過ぎた。

この五年で変わったことと言えば
私が結婚前の名前に戻ったこと
三十代へと年齢が変わったこと
海の見える町で暮らし始めたこと

そして
桜が咲くこの季節が
嫌いになってしまったこと。

桜を見るとどうしても
思い出してしまう。
彼との細やかながらも
幸せだった日々を。

人は言う。
もう五年も経つのね、と。

私にはもう、なんて感覚はない。

やっとの思いで
五年という日々を過ごしてきたのだ。