「君もその一つなんだ。」

「えっ?」

不意に目線を私に向けて彼が言った。

「君のことも撮りたい。
そしてーーー」








「もっと知りたいんだ、君のこと。」








穏やかな春の優しい風が
吹き抜けて行くのが分かった。
目の前にいるのは
まるで猫みたいな瞳と
ふわふわとした髪を持つ彼。

私は漸く彼をちゃんと見ると








ーーー岩崎 日和(いわさき ひより)です。
宜しく。貴方の名前は?








微笑みながら彼に言った。
何年かぶりに桜が満開になる絵を
想像しながら
私は漸く春を迎えようとしていた。