よろよろと頼りなげに歩く沙霧の手から水甕を奪い取り、肩を貸してやりながら、疾風が首を傾げる。






「水を汲む時に、ということは、小川で捻ったのか」




「あぁ………足を踏み外して、雪穴に落ちてしまったんだ」





「その足でよくここまで歩いて来れたな………」





「いや、歩いて帰って来たわけじゃないんだ」





「…………え?」






疾風は眉根を寄せた。



その顔を見て、沙霧はにっと笑う。





「歩いてじゃなくて、飛んで帰って来たんだよ」





「は??」






疾風の声が裏返る。



くくっと喉を鳴らして、沙霧はなおも言い募った。





「雪鬼に助けられた、とでも言っておこうかな………今は」





「…………はぁあ??」







疾風の顔がさらに訳が分からないといった表情になったのを見て、沙霧はあははと楽し気に笑った。