「な、に、言って…」

信じられない、わけじゃないけど、何だか夢みたいで。

涙が零れ落ちてゆく。


そんなあたしを見てクスッと笑った雅人はあたしを引き寄せた。

一瞬の出来事で何も反応できなかったけれど、胸の中に収まった時がやっぱり一番安心してしまって。

あぁ、好きだと実感する。


「雅人が濡れ…」

「いいから」

なんて、掠れた甘い声囁くから、体温が急上昇してしまう。

そのまま耳元で一言。



「すっごく…好き」


「…っ」



馬鹿。

馬鹿。

大馬鹿よ。


「…あたしの方が、もっと好きなのよ、
馬鹿」


その言葉に雅人は「素直じゃねーなー」って笑っていた。

その眩しい笑顔に微笑み返す。


そう、いつまでも笑っててよ。

あたしの隣で、笑っていてよ。

あたしの隣は、一生、貴方しかいないの。

あたしが好きな人も、一生、変わらないの。

「…大好き」

気がつけば本音が口から出ていた。

「っ…いつにもなく素直だな?」

「彼女に大好きって言われたくらいで動揺してるんじゃないわよ」

「なっ!?動揺なんてしてねーよ!」

「なら、顔を真っ赤にするのをやめてくれるかしら?」

「あ、赤くねーよ!」


ふと見上げた空はいつの間にか晴れていた。太陽が顔を出し、青空が覗く。


あぁ、この果てしなく続く空よ。

願わくば、この幸せな日々が続かんことを。



fin.