咄嗟に気配を消して、教室内の様子を伺う。

次の瞬間、あたしは自分の視力を、聴力を、疑った。


だってそこには、雅人と、知らない女の子がいたんだもの。


それも、仲良さそうに話している。


あぁ、断っておくけれど、あたしはそんなこと位ではヤキモチを妬くような女ではないわ。

たかが誰かと仲良く話しているくらいじゃね。

そうじゃないと、こんなカッコイイけど本当にバカな星使いの彼女なんて、やってられないもの。


雅人に彼女––あたしがいることを知っていてもなお、告白する女子は絶えない。

翔太には劣るものの、雅人はモテるんだ。

彼氏が告白されるというのは、あまりいい気持ちはしない。でも、自分の気持ちを伝えたいという彼女達の気持ちは、痛いほど良く分かる。だから、嫉妬なんてできないし、ただ伝えるだけなら見守ってあげようって思うようにしたの。

雅人が誰かから告白されるということは、雅人がその誰かから愛されているという証拠。雅人が誰かから嫌われるよりは、ずっといいわ。


それに、あたしには一つの確信があった。

今日の今日まで、事実だと、真実だと信じて疑わなかったの。



どんなことがあっても、雅人はあたしから離れて行かないって。

ずっと好きでいてくれるって。



今考えれば、それは自惚れに近かったのかも知れない。

そんなもの、ただの幻想だった。

なぜそれに気づかなかったのだろう。

人の心ほど、変化しやすい物はないのに。

あたしは、浅はかだった。