「わぁ…」

思わず感嘆の声が出てしまった。


白亜の邸宅の前にあるのは、まるで植物園の如く生い茂り、手入れが行き届いている、月に浮かぶ花園。

そこには、春という季節の影響もあってか、そこには数年前と同じように沢山の種類の花が咲き乱れている。

どれもこれも綺麗に、可憐に、且つ生き生きと咲いていて、目が奪われる。

凄い…


「っていうか、あたしって、ここに来て大丈夫なの！？」

バッと辺りを見渡す。


「良いに決まってんだろ。

今は普段の、外からの攻撃を防御するシールドに加えて、内側が見えないようにするシールドを展開してる。

お前と約束した通りにな」

フーと溜息をつかれた。


そう、あたしがお願いしていたんだ。

万が一、あたしが"サファイア"の当主と二人きりでいるところをパパラッチさんとかに見られたら、次の日には"サファイア"と"ガーネット"に多大なダメージを与えるからね。


でも主な理由は、翔太がモテすぎるからだ。

翔太は今や老若男女を問わず虜にしてしまうほどの美貌を持っている。高校生の頃もモテてはいたが、比べものにならないほどモテている。告白なんて一日平均6.73回だ。

そんなヤツと外を歩けば、デートどころじゃない。柏木家には常十数名がストーキングしていると美玲から聞いた。

だから、誰にも邪魔されないように、お願いしたんだ。

なんて、絶対に言えないけど。


「ありがとう」

あたしが微笑むと、

「別に…」

翔太は顔を背けてしまった。一体どうしたんだろうね？まぁいいや。