しばらくするとあたしの涙も乾いてくれた。


「どうして、俺が由良のことが嫌いじゃないかなんて疑ったんだ?」

抱きしめたままの状態で尋ねてくる翔太。

この格好は恥ずかしいのだけれど、でも一番落ち着くので、このままでもいいかな、なんて思ってしまう自分に従うことにした。


「だって…翔太、不機嫌だし、無口だし、あたしのことを無視するし…」


不思議と、翔太に抱きしめられていると素直になってしまう。

今までだったら、こんなこと言えなかったのに…


ちらっと翔太を見ると、

「ハー」

思いっきり溜息をついておられた。頭をかきあげている。ど、どうした?


「何だ、そういうことか…」

「え…?」

訳が分からず聞いてみると、


「ごめんな、あれただのヤキモチだから…」

「やき、もち…?」

餅?いつ焼いたの?食べたかった…


「言っておくが食べる餅じゃないからな。

由良が雅人に笑いかけるから、妬いた…」


あぁ、そっちか!

って、妬いた…?


「や、妬いたの…?」

尋ねると、

「…」

無口だったけれど、顔が真っ赤だった。


何も言わないってことは、そういうことなんだよね…?