「着いたぞ!」

相変わらず元気な雅人。

それと対照的に、目の前に広がる光景に絶句するあたし。


「これが…」

「あぁ」

隣の翔太が頷いた。

「これが美玲の家だ」


これが、あの魔法薬屋、海音寺グループの家…

大きすぎる。豪華すぎる。何これ、王城みたい…


「さ、行こうぜ」

雅人はそう言うと一歩踏み出した。あたし達はそれに続く。


皆さんこんにちは、神崎由良です。

只今あたし達は美玲の家の前にいます。

というのも、一週間ほど美玲のご両親が海外出張なさるらしく、その間、美玲が魔法薬屋海音寺グループを守らなくてはならないらしい。

調合なども全て美玲一人でこなさなければならないらしく、かなり大変そうだ。

いくら大学が連休だからと言っても、いくら魔法薬学の天才である美玲でも、大変なんだろうな…

電話越しの美玲の声はかなり疲れているようだった。いつもの元気な美玲ではなかったの。ちょっと心配してしまう。

そこで彼氏である雅人が手伝いに行ってたらしいけど、仕事が全くはかどらないらしいんだって。多分二人がイチャイチャしてるからだろうけどね。本当に仲良しだよね。

そのため更なるお手伝いとしてあたしと翔太が呼ばれたのです。


雅人が、ピンポーンと豪華で巨大な門に付いているインターホンを押すと、

『どなた様でしょうか』

年配のメイドさんだろうか、気品漂う声がインターホン越しに聞こえる。とても落ち着く声…

「あの、古城と申します。僕達は…」

ちょっと緊張気味の雅人。それもそうだよね、彼女の家だもんね。


『あぁ、古城様でいらっしゃいましたか。ということは美玲お嬢様のご友人の方々ですね。今門を開けますのでお待ちください』

すると、豪華なもんがギギギ…と重い音と共に開いた。