そのまま人通りの少ない廊下を歩く。


あー疲れた。精神的に疲れた。


告白されたの、これで今日4回目。毎日こんな感じだ。


俺にはあいつしかいないってこと、分かってないのかと疑問に思う。


あいつを知らない1年生や2年生なら分かる。だけど3年生や先生は…なぜ言ってくるのか。俺がOKを出すことがないと知っているだろうに。


この先もずっと、俺が好きなのはあいつだけで、俺が彼女にしたいのもあいつだけ。

それ以外の人のことなんて、知らないし興味もない。


ふと、『女の子を泣かせるなんて万死に値するよ!』と熱弁するあいつを思い出した。


あの女子生徒は、この世の終わりみたいな顔はしていたけれど、泣いてはいなかった–––––よな?


もうどんな生徒だったか思い出せない辺りが自分でも酷いと思う。


これを知ればあいつはきっと、

『酷い!酷すぎる!女の子がせっかく勇気をだして告白したのに!女の子の気持ちもちょっとは考えなよ、このバカ翔太!』


と怒るだろう。それもエンドレスで、だ。

あいつのことだ。きっと、じゃない。確実に怒るだろうなと思う。


だが怒る前に、話したこともない人に告白されるという恐怖を考えてほしい。


話したことも、まして見たこともないような生徒から、いきなり好きです、だなんて。

そんなのただのホラーである。そこら辺のDVDレンタルショップに置いてあるホラー映画より、よっぽどホラーだ。



だけど怒ってるあいつも可愛いんだよな、なんて想像すると自然と頬が緩む。


どれだけ好きなんだよ、と自分でも呆れる。

どこにいようと、どんな時でも、あいつのことを考えてばかりいる。


ホント俺の思考回路狂ってる。


だけど、それでもいいのかもしれないなんて思う自分がいるから怖い。