長かった授業も終わり、チャイムが放課を告げる。

一斉に教室内が騒めきだす。

俺は後ろの席である親友に話しかける。


「なぁ、翔太」

「あ?」


相も変わらず、俺の親友の翔太は不機嫌である。

慣れているとはいえ…あー、怖。


全く。そんなんじゃ由良だって逃げるっつーの!


「あーもう。今日は由良が休みでいないからって八つ当たりしないでくれよな」

俺が吐き出すように言うと

「な、違!」

立ち上がり珍しく大きな声を出す翔太。


はいはい。照れてるわけね。

嘘がつけないんだよなーこいつ。


するとその隣から愛しい声が聞こえた。


「雅人ー行くわよー?」


美玲は学校指定の鞄を右肩に下げていた。


パッチリ大きな瞳に、白い肌。潤った桜色の唇。

緩やかなカールのついたブラウンの髪の毛が、風にふわりと揺れた。

我が彼女ながら可愛すぎる。


「あぁ」


その姿に見惚れてしまった。