ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】

「開き直るな、この馬鹿が」

「バカバカ言わないでよ! 大体あたしは馬鹿じゃないっていっつも言ってるでしょ!?」

けれど翔太はいつものように笑ってはくれなかった。

真剣で、厳しい目をしている。

あたしの興奮していた感情も不思議と鎮まっていく。




「……死ぬなよ」




翔太がぽつりと呟いた。

すごく静かな、静かな声だった。


その静かで掠れた声があたしの胸を刺す。


重くて、だけど、ひどく優しい言葉だった。


「……翔太もね」


涙がこぼれないように、笑顔をつくった。

あたしの泣くのを堪えて笑う顔が、翔太の空色の瞳に映りこむ。

翔太は憂いを浮かべたような、複雑な顔をして笑った。



「一緒に、帰ろう」



翔太の優しい声に一瞬驚いたけれど、あたしは頷いた。

その時に涙が一筋頬を伝った。


"一緒に"


大好きな人のその言葉は、あたしにはとても甘くて優しすぎた。


だって、知らなかったの。

人の温もりがこんなにも優しいこと。

何があっても離れていかないと心から信じられる人が、こんなあたしにもいること。


あたしは翔太の言葉に、穏やかな優しい陽だまりがいつまでも続くような、そんな感覚を覚えていた。


翔太はあたしを見て一瞬驚いた顔をしたけど、すぐに優しい顔になってその雫を指で拭きとってくれた。

「泣き虫」

翔太が優しい顔をして言った。

その優しさが胸に染み渡る。

それに、泣き虫って、一体誰のせいであたしが泣いてると思ってるの。

「翔太のせいだよ…!」

翔太が優しい声でそんな暖かいことを言うから。

だから涙がでてしまうんだよ!