ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】

「ね、あのヒュドラが氷漬けになってるのって、まさか…」

「あぁ、俺がやったけど?」

さも当然、というような顔で答えた翔太。

ヒュドラ相手にこんなに冷静でいられるなんて、やっぱり"サファイア"をまとめるだけはある。

それに、あの一瞬のうちにヒュドラを氷漬けにしてしまう魔力の強さ。

…翔太、強くなってる。

高校生の頃とは、比べ物にならないほど。

「この馬鹿由良。そんなの当然だろうが。俺を誰だと思ってんだ」

ふん、と見下してくる翔太が久々にイラつく。

アホでバカだと思ってる、と言いかけて口を閉じた。

久しぶりに会えたんだし、

「さすが、あたしの彼氏様だね」

ちょっとくらい、素直になったって、いいよね…?



「…っこの、馬鹿が…っ」

顔を赤くした翔太。


「どうしたの?」

顔を覗き込もうとしたら、背けられた。

ど、どうして?

考えても分からない。


すると突然、あ、と声を漏らした翔太。

どうしたの、と尋ねると、悪戯っ子のような無邪気な笑顔でヒュドラを指さして言った。

「あれ、ただ氷で閉じ込めただけだから勿論倒してないし、多分そろそろ…」

言い終わらないうちに、氷は砕けてヒュドラが出てきた。

耳をつんざくような不快な叫び声が聞こえる。それも、何だか怒ってるみたい。

多分、翔太が氷漬けにしたからだと思うけど。

「…出てきたな」

「…そうだね」

二人で目を見合わせて、苦笑いした。