ド天然!?魔女っ子の秘密【side story】

「"アイス・グランド"!」

―---ギャアアアア!!


ヒュドラの叫び声と共に、何かが落ちるような鈍い音が辺りに響いた。


何事かと思って目を開ければ、ヒュドラは氷漬けになっていた。

そしてあたしの目の前には、




「無事か?」



「しょ…うた…?」





会いたかった、大好きな人がいた。

杖を構えたままあたしの方を見ている。

その綺麗な青い瞳は、不安で満ちていた。


「な、んで、ここに…?」

ずっと会いたかったのに、出てきたのはそんな言葉だった。

あたしはなんてボキャブラリーが少ないんだろう。


翔太は動けないでいるあたしに近寄ってきた。


「…無事ではないな」

スーツ姿の翔太は、怪我だらけのあたしの姿を捕えると、苦い顔をした。

「…足、動くのか?」

あたしは首を横に振った。

足は折れたんだ、と伝えると一瞬驚いた顔をして、

「"ヒーリング"」

翔太はあたしに治癒魔法をかけた。

「これで一応は動くようになったとは思うが…」

足を曲げようとしてみると、ちゃんと動いてくれた。

これなら、歩けそうだ。

「これは応急処置だから、後でちゃんと治療してもらえ」

「あ、りがと…」

翔太の手を取って立ち上がった。

翔太の手の体温が、暖かい。

不安でいっぱいだった心が溶かされていくようだった。