「大丈夫ですか?顔が赤いですよ?」

「あ、大丈夫です・・・」

「それなら良かった。でも、その意味ならあたしが知っている意味と一緒です」

だって、あたしは大好きな人達の顔を見るだけで幸せになれるもん。

好きの別の意味は結構微妙なものなんだね。難しいな。

「神崎さんって天然なんですね。そして鈍感なんですね」

ふむふむ、と男の子は頷いていた。

「?何か言いました?」

全く聞こえなかった。独り言だろうか。

「いえ、あの、お、俺…」

「はい?」

今度は何だろう。

そう思って聞いていると、

「俺じゃだめだと分かりました」

「何が駄目なんですか?」

どこも駄目じゃないのに。

どうして駄目になるんだろう。

さっきの間に何が分かったんだろう。

「え…えっと、俺、いつか神崎さんに振り向いてもらえるよう頑張りますから!」

「?うん…?」

何を頑張るのだろう。

廊下でめちゃめちゃ速く走ってみるとか?

それならあまりの勢いに振り返ってしまうかもしれない。

「廊下を走るのは駄目ですよ!ちゃんと歩いてくださいね!」

先生に怒られちゃうよ。

けれど男の子は目を点にした。どうして?

「…え、えっと、ありがとうございました!俺、頑張りますから!」

じゃ、と手を挙げたかと思うとそのまま屋上を後にしてしまった。


ちょ、ちょっと待ってよ…

「ソレワソさんの絵画展はどうなるんですかー!」

あたしは叫んだ。

―---------