泰秀の身体の全機能が一瞬、止まっているみたいだった。


パチクリと、泰秀は2度くらい瞬きをして。
そのままの状態で、思考が停止したみたいに私をポカンと見つめてる。




嘘だよ。冗談だよ。
騙された?
今日はエイプリルフールだよ。
嘘に決まってるじゃん。
私は泰秀なんか好きじゃないよ。



そんな言葉たちを、口から紡ぐ準備をする。


…だけど、




「……っ。」



できないよ。嘘になんて、することできない。



だって、嘘じゃないもん。
冗談なんかじゃないよ。



好きだよ。
泰秀のことが、好きなんだよ。




本当は泰秀とずっと一緒にいたいんだよ。
このまま離れ離れになっちゃうなんて嫌なんだよ。






「ーー何それ、エイプリルフール?」



泰秀が吹き出したように、面白そうに笑いだした。