大学なんか、楽しくないよ。
泰秀がいない大学なんて、つまらないよ。
泰秀と今までみたいに会えなくなるなんて、嫌だよ。
「…そうだね。」
ーーアホみたいなことだけど、私の高校生活は泰秀が全てだったんです。
入学式の思い出は?って聞かれたら、真っ先に泰秀と席が隣になったことを思い出すし
修学旅行の思い出は?って聞かれたら、こっそり夜中に泰秀とホテルから抜け出して、先生に見つかって一緒に怒られたことを思い出す。
学園祭も体育祭も、毎日の昼休みも、放課後も授業も朝の登校時間も
泰秀の思い出ばかり、残っているの。
「ねえ、泰秀。」
ぴょんっ、って。
動いてたままのブランコから、そのまま飛び降りた。
泰秀は少しだけ驚いたように、私をきょとんと見つめて。
そんな泰秀に、ブランコから下りるよう促すために勇気を持って触れてみる。

