*華月譚*花ノ章 青羽山の青瑞の姫

「…………はぁぁあぁ〜〜〜?」






ひしと抱き合う二人を前に、灯が唖然とする。




汀も目を瞠って、ぽかんと口を開いていた。






「…………成仏するんじゃなかったのか!?」





「…………どうやら、やめたみたいねぇ」





「なんつー展開だ………」






今や、青瑞の姫は元通りの姿を取り戻していた。





涙ながらに天城に縋りついている。






「………このままだと、あの大男が次の標的になるんじゃ………」





「あら、でも、天城もなんだか嬉しそうだわ。



それならそれでいいんじゃない?」







汀はにっこりと笑ったが、灯は呆れたようにそれを見下ろした。