俺は、何となく花について行った。
もしバレたら、便所に行くとでも言えばいいか、と考えながら。
ある部屋に花が入った。
その扉の前に行くと、可愛らしい字で、〝♡花の部屋♡〟と書いたプレートが飾ってある。
…そういえば、〝お父さん、お母さんの部屋〟とか〝お父さんの書斎〟とか、いろいろあったな。
花の部屋の前に、〝お母さんの部屋〟というのがあった。
いけないと、分かってながらも、そっと、扉を開けた。
ドレッサーにタンス、今は冬ではないのに、冬物のコート。
つい最近まで誰かが使ってたんじゃないかって思うくらい、綺麗だった。
…多分、花が掃除してるんだろうな。
いつ帰ってきても、大丈夫なように…。
さっき、両親の話をしてた時の花の瞳は、まるで誰かから聞いたかのようで、両親の死を認めていないような瞳だった。
…自分の前で、亡くなったんだろ?
花が心配だ。
俺は静かに部屋から出ると、花の部屋から、すすり泣きの声が聞こえる。
俺は花の部屋の扉にもたれかかりながら、考えた。
「…ヒック。」
なぁ、花?
「…っ、ック。」
なんで、俺の前で泣かねぇんだ?
「…ビックっ。」
…俺がお前を変えてやるよ。
「…うぇっ、ック。」
だからさ、
俺の前だけは、泣け、笑え。
俺を信じろ。
俺もお前を信じるから。
しばらくすると、声が聞こえなくなった。
俺は急いでリビングへと足を進めた。
☆ 守side ☆ end。

