雨もヤバくて、帰らしたら消えてしまいそうだから俺の家に泊まらせた。
風呂場に着替えを持ってったら、制服とカツラが。
なんで、カツラ?って思ったが、ハーフだから、地毛が嫌なのか、程度しか思わなかった。
さっきから何も喋らないあいつ。
俺が問いかえけも、無視をする。
案の定、わざとムカつくような言葉を言ってやったら、ビクッと震えた。
…半分本当で、半分嘘だがな。
これ以上聞いても無駄だと悟り、違う問いかけをしてみた。
「名前は?」
どんな患者からも、まずは名前。
すんなり言ってくれることが多いからな。
そしたら、「自分から名乗れ」と。
ビックリしたが、まぁそうだよな。
人に聞く前に自分から名乗るのが礼儀だ。
「しまった!」とでも言いたそうな顔をしている。
…ハッ、口には出さないが表情は出すんだな。
当の本人は気付いてねぇみたいだけど。
「ゆうき、はな」と消えてしまいそうな声で、あいつは言った。
へぇ〜。
「漢字は?」
と聞くと、露骨に嫌な顔するあいつ。
それでも、ちゃんと答えてくれた。
〝はな〟って、華やかの華じゃねぇんだ!
俺的には、花の方が好きだけどな。
だって、いい匂いっていうイメージねぇ?
そう言うと、花は驚いたような顔をしてから、小さく笑った。

