…なんで、海道さんは、私が喜ぶような言い方してくるんだろう。
私の名前だって…。
『…どうぞ、お入り下さい。』
ほらね。
優しくされると、普段の私じゃなくなる。
『おぅ、…あれ、共働きなのか?お前ん家。』
『…っ!』
ビクッとなり、私の足が止まる。
『…あ、悪りぃこと聞いた?』
『…いえ。』
気付いたら、私の両親の事を話してた。
涙が目に溜まってくる。
…っ、泣いちゃダメ。
1人になったら、泣けばいいから。
他人の前で泣かないでっ。
『…そ…。』
『リビングはこちらです。』
私は海道さんの言葉を遮った。
海道さんの声を聞きと、今の状態の私じゃ、絶対泣いてしまうから。
それだけは、避けなきゃ。
『ソファにでも、座っていて下さい。…着替えてきます。』
私は逃げるように自分の部屋へと走った。

