『って、あぁぁぁっ!』


時間っ!!


いつもなら家出てるよ、この時間。


急げ!急げ!!


パン焼いて…


…いやいやいやいや!


そんな時間ないわっ。


顔を洗って…歯を磨いて…制服に着替えて…ヅラ被って…


あ、私、地毛がハニーブラウン的な色なんです。


青龍の時は別に良かったけど…。


私の通り名、「龍華」って事がバレるといろいろめんどくせぇんだよね。


あぁぁ、龍華だって、龍華。


何であいつの名前が入ってんだよ。


っま、今となっては関係ないけどね。



よっしゃ!


準備かーんりょう。


『…ふぅ。いい?この扉を出たら私は人形。笑わない、泣かない、怒らない、喜ばない…。感情を表にださないで。』


私は外の世界に出る時、こう言って自分をコントロールしている。


だって、「無」になれば傷つかないでしょう?


『行ってきます。お母さん、お父さん。』


私は天国にいる両親の写真に向かって喋りかけ、家を出た。