…痛ぇな。
『あらー、そこのおっさん?殴ってはダメじゃないんですか。』
…あ?誰だよ?
殺気を出しまくりで後ろを振り返ると、私は固まった。
無造作につくられた黒髪に、切れ長の二重瞼、筋が通った鼻に、厚くもなく薄くもない唇。
服はカジュアルに着こなしていて、どこかの雑誌から出てきたような男の人。
…なんだ、こいつ。
青龍の総長になって怖いものなんてなかった私が、こいつを見て怖いと思った。
…瞳。
汚れなど知らないような瞳。
それが、怖かった。
気を抜いたら吸い込まれそうで。
『あ?お前誰だぁ?俺は娘がけしからんことするからブっただけだろが。』
…って、私。
なんで固まった?
…あ、まだ小芝居は続いてるのね。
てか、娘とホテル前にいるのがまず大問題でしょ…。
あきれるの通りこして、情けないわ。
『いや、娘だとしても、こんな所にいるだけで問題ありますから。』
あ、同じこと思ってたし。
いや、誰でも普通思うか。
…ただ1人、情けないおっちゃんを除いて。

