桃の花を溺れるほどに愛してる

「あっ、すみません。僕の私情をぺらぺらと話してしまって……」

「ううん。いいよ、別に」


 別に気にしてないしね。

 私達は司さんに何もしてあげられないだろうけど、せめて、司さんにとっていい人が見付かるといいなぁ……。


「あっ、ねぇ!春人のことを色々と教えてよ!」

「えっ?」


 私はハッと思い付いたことを口にした。

 春人は私のことをなんでも知っているみたいだけど、私は春人のことを何も知らないもんね。

 さっき、時期・院長だっていう衝撃的な事実を1つ知っただけだし……。

 仮にも、ほら……仕方ない状況だったとはいえ恋人になったわけだし、他にも春人のことを色々知りたいなぁ、なんて。


「別に構いませんけど……」

「じゃあ、春人のプロフィールを教えて!」

「えっと……僕は4月24日生まれの牡牛座で、O型……好きなものは桃花さん、嫌いなものは……特にない、ですかね。趣味は桃花さんのことを想像したり妄想したりすること……他には桃花さんに尽くすことで……」

「ごめん。もういい」

「え」


 聞かなきゃよかったかも……特に後半の部分。コイツの頭はどれだけ私でいっぱいなんだっ?!


「すみません……何かお気に障ることを口走ってしまったでしょうか……?」


 しゅんと肩を落とし、しょんぼりとする春人。……なんか、犬みたいだな。