桃の花を溺れるほどに愛してる

「いらっしゃいませ~、喫茶・碧の森へ!――それにしてもキミ。と~っても、かわいいねぇ?よかったら俺と連絡先をこうか…」

「おい、司。客相手にそんな口を使うなといつも言っているだろう。……すみません、バカがご無礼をおかけいたしまして。2名様でいらっしゃいますか?」


 ビッ、ビックリした~。今のって一応ナンパになる……のかな?ナンパされること自体が初めての経験だけど、まさか来店早々店員さんにナンパされるとは……。

 それにしても……この2人の店員さん、なんだかカッコイイな。

 ナンパをしてきた方の店員さんはチャラ男っぽいけど、見たところ、そんなに悪い人ではないみたい?

 ナンパの店員さんをとめた方を店員さんは、さらさらとした黒髪で落ち着きのあるクールっぽい人。

 冷たそうに見えるけど、たぶん、悪い人ではない……と思う。けど、なにやら不思議なオーラをまとっている人物だ。


「はい。……ところで、そちらの方、司さんとおっしゃいましたか?」


 ん?なんだか春人の雰囲気がギスギスしているというか……怒っている?え、なんで?私がナンパされたからっ?


「そうっすけど。何かご用っすか?」

「桃花さんは――僕のモノです。今後一切、彼女に手を出さないでいただきたいんです」


 春人に背後から抱きしめられ、体温が急上昇するのが分かった。