桃の花を溺れるほどに愛してる

 春人はそんな私の動きに合わせて身体を捻らせ、赤面している顔を見せまいと、両腕を顔の前に持っていって抵抗しているけど……やっぱり、気になる……!


「えいっ」

「わわぁっ?!」


 気が付いた時には視界は反転しており、私は春人の上に覆いかぶさるような形で乗っかかっていた。

 一瞬、何が起こったのか理解が出来なかったけど、躓いて転ぶ私に怪我をさせまいと、春人に抱きしめられているところが熱くて……。

 理解した刹那、今度は私が赤面していた。


「わわっ、ごごご、ごめんっ」


 私は反射的に飛びのき、春人の上からおりてその場に立ち直した。


「いえ……。僕なんかのことよりも、桃花さんの方は大丈夫ですか?怪我とか、していませんか?」


 自分を差し置いて私を心配してくれていることが、ちょっぴり嬉し……いこともない、っこともない!

 って、私の体重を受け止めるようにして倒れたのだから、怪我をしているのなら春人の方なんじゃ……?!


「私は別に……。春人の方こそ大丈夫なの?」


 刹那、春人は目を輝かせた。


「まさか、愛しの桃花さんに心配されるなんて……感激ですっ」

「……うん、大丈夫そうね」

「はいっ!僕も大丈夫ですっ」