桃の花を溺れるほどに愛してる

「ちなみに誕生石言葉は“かわいらしさ”、“チャーミング”などがございまして……。素敵なお客様にますますお似合いだと思いますわ。“愛の本質を教え、愛を根付かせる石”とも言われているんですよ」

「へぇ~……」


 ますます、ほしくなっちゃったなぁ。

 特に、このブレスレット!モルガナイトの石と真珠が交互に編み込まれて、ハート型のキラキラと光るモルガナイトの石がとってもかわいい!

 値段は……うん、思った通り、3万円くらいはするんだけどさぁ。


「はぁ……。あっ、今日はもう帰りますね」

「はい~!またいつでもお越しくださいませー!」


 優しい店員さんに見送られ、私はアクセサリーショップを後にした。

 ふと、時間を確認するため、ショルダーバッグにいれてある携帯電話を開く。

 ――あれ?

 もしかしたら……と思ったんだけど、どうやらその読みは間違いだったらしい。

 春人のことだから、ものすごい量のメールを送ってきたり電話をかけてきているものだとばかり思っていたのに……。

 そんなものは、1つも着信していなかった。