「そうだねぇ……ひどいようなら、着信拒否にすれば?」

「……!」


 着信拒否……!

 今の今までその存在を忘れていたけど、そういう手もあったか!


「そうだね。それもアリだね」


 まぁ、しないけどね。

 着信拒否にしたって、違うアドレスからメールが届きそうだし、それこそ家に押しかけてきそうだし……“仮にも”恋人だからねっ!

 私は一応、京子にお礼を言っておいた。


 ――時は流れ、放課後。


「今日は一緒に帰ろ!」

「うん」


 京子と何気ないおしゃべりをしながら、校門をくぐろうと歩いていると……。


「キャー!だれ?あの人!超カッコイイー!」

「うわ!ホント!だれだろ~?」


 周りにいる下校途中の女子生徒たちが、校門の方を向いて何やら騒いでいる。

 私もそんな女子生徒たちに釣られて校門の方を見てみたのだが……。


「っ?!」


 校門の向こう側に、見覚えのある人物が立っている。そして、まるで誰かを待っているかのようにこちら側を見ていた。

 いや……まさかね……。


「あ」


 目が合った。


「とーうーかーさーん!」


 ヤツは私と目が合った瞬間、目を輝かせて飛び付いてきた。